雪の日に思い出すこと。
本社から雪の情報と写真が送られてきた。
ヤンゴンに住んでいてはまず見ない風景に、ひとつの思い出が浮かんだ。
本社のほとんどの社員は会社から徒歩圏内に住んでおり、
特に若手は徒歩15分以内の社員寮に住んでいる。
わたしも日本にいたころは社員寮に住んでいた。
台風だろうが雪が降ろうが、歩いて家に帰れるのは単純にありがたかった。
思い出したのは、雪が積もったある日の話だった。
その日、わたしは新卒イベントがあり、外出する必要があった。
完璧に防寒し、雪でも滑らない靴を選んで履き、寮のドアを開けた。
ここからしばらく、雪を踏みしめて歩かなくてはならない。
そう思ったとき、ドアを開けたすぐそこに、
こんもりと積もった雪をかき分けて、人ひとりが歩けるだけの道ができていた。
その日寮生は、「若井さんが新卒で出るから」と
わたしが寮を出る前、知らぬ間に雪かきをして、
人ひとりが歩ける道をつくっておいてくれていた。
「あ、若井さん、雪かきしておいたよ。
気をつけていってらっしゃい!新卒よろしくね~」
そう送り出してもらったとき、本当に何も知らなかったわたしは驚いて、
嬉しくて、ありがたいなぁ、、と温かくなった。
そんな、雪の日に思い出すこと。