僕の彼女は品質保証 #43「気づいてほしかった、なんて甘ったれたこと言ってんじゃないよ。」
僕の彼女は品質保証である。
約1年前の夏、彼女はミャンマーに赴任した。
そこでは、品質保証、総務・経理・人事、お客様対応など、
様々なことをやっているらしい。
技術とかAdminとか関係なく、すべての仕事は人の心を扱うものだから、難しい。
僕はエンジニアだから、彼女が言っていることがよくわからないことも多いけど、
彼女は「人事めちゃくちゃ難しい。」と常に言っている。
その日は某メッセンジャーアプリで電話をかけたら、
彼女がオコだった。ものすごく。
「気づいてほしいとか、気づくべきだとか、甘ったれたこと言ってんじゃないよ。
不満があるなら、自分から言え。 そんで、解決しろ。」と怒ったらしい。
「嫌だけど、言われたからやってる。」とか
「あの人のこういうところが嫌だけど、どうせ変わらないから」とか何とか言って、
ジメジメ我慢するのは、成熟度でも何でもないから。
我慢=成熟度と思ってるやつは、マジ生まれ直してくれ。
人生何十年あるか知らないけど、正しいことなんて何もないし、
何ひとつ決まっている事なんてないんだから、
自分がやると決めたことや同意した選択で正解になるまで改善するか、
もし本当に我慢するんだったら、徹底的に我慢して、貫いて
我慢すら正解にしてみせろ。それが成熟度じゃ!
「これは嫌です。やりたくないです。」
「そうなんだ、何で嫌なの? へー。
嫌なことやったって結果出ないから、やらなくていいよ。
で、何だったらやりたいの。どう変わったらやりたいの。」
って会話のほうが1000000000000倍、成熟度高いし、
1000000000000倍、ミャンマーに合った面白いことできるし、
1000000000000倍、効果高いわ。
・・・とここまで一息で言った彼女に、僕はお茶をすすめた。
(アプリの画面越しに。)
お茶をすすりながら彼女が言う。
「ってことを伝えたり、そういうことを
オープンに言えるタイミングとか風土をつくるのが私の仕事なんだよね。
私はスキルとして気付いてあげられないんだから。」
技術とかAdminとか関係なく、すべての仕事は人の心を扱うものだから、難しい。
僕はエンジニアで、100% 彼女が言うことをわからないことも多いけど、
それでもやっぱりわかることもある。
そんなことを思いながら、画面の彼女を見やった。
彼女はお茶に、先日一時帰国した彼女に僕が持たせた
焼酎を入れ、くっとあおっていた。