己という領土を治める唯一無二の君主であれ。
先日、ミャンマーでお子さんを育てていらっしゃる方にご自宅に招いていただいた。
子供を産み、そして母国ではない国で育てていらっしゃる、勇敢で優しい方である。
お暇させていただくとき、その方がお子さんに向けてかけていた言葉に思い起こすものがあった。
「もう、君は王様なの?」
お子さんは3歳ながら聡明で、はっきりと自分の意志があり、
かつ、言葉で示すことができた。
齢30になろうかという社員の追従退職(「あの子が辞めるから、私も辞める」)や
先日のブログに書いたできごとを経験した私には、
明確で独立した意志を持つ存在との時間は癒しだった。
そして、お母様が、可愛らしい我儘を言うその子にかけていた
「君は王様なの?」という言葉は
帰りのタクシーの中の私に一つの言葉を思い起こさせた。
己という領土を治める唯一無二の君主に。
(小野 不由美作 十二国記「風の万里 黎明の空」より)
もちろん、独裁・独善はNGで、人の言うことやアドバイスを聞いて
行動に移したり、周りの状況を見ることは必須だ。
だけど、自分の行動や方向性を決め、責任をとるのは、自分だけであり、不可侵だ。
その原則が明確だからこそ、人間は他人を諫めることもできる。
不可侵なその子に願うことは、そのまま
己という領土を治める唯一無二の君主であれ、ということだけ。
そして、この国で健やかに生き、
勇敢で優しいお母様を支える、賢く優しい王様となりますように。